LAを拠点に活動するシンガー・ソングライターであるインド系アメリカ人リシケシュ・ヒアウェイを中心としたバンド。マサチューセッツ生まれの彼は、イェール大学在学中の1998年よりThe One AM Radioとして活動を開始する。元々はアコースティック・ギターとドラム・ループだけのバッキングによる演奏だったが、2000年あたりから、生ドラムやコンピューターを取り入れ、徐々にレパートリーを拡げ、独自のビートを構築していく。最初の公式な音源リリースは1998年にCosmodemonic Telegraphよりリリースされたコンピレーション・アルバム『Tea At The Palaz Of Hoon』に、Bright Eyes、Mary Lou Lord、Bevis Frond、Wheat、Elf Power、Moe Tuckerらと共に提供した1曲。その後、Ted LeoやTracy SheddらとのスプリットやEPを経て、2002年に、自身が運営するTranslucenceより1stアルバム『The Hum of the Electric Air!』をリリース。2004年に、日本のEnvyなどもリリースするLevel Planeより2ndアルバム『A Name Writ In Water』をリリース。LAに居を移し、西海岸アンダーグラウンド・ヒップホップの雄Daedelusの協力も得て制作されたこのアルバムは、米インターネット・メディアPitchforkでも8.1という高得点を記録し、ここ日本でも専門店を中心に話題となる。翌年にはDaedelus、Caural、Aliasらによるリミックス・アルバム『On the Shore of the Wide World』をリリース。DaedelusやCauralのアルバムにもゲスト・ヴォーカルとして参加するなど、精力的な活動を行う。そして2007年、地元LAのレーベルDangerbird(最近はBeady Eye、Maritime、Minus The Bear、Hot Hot Heatなどが在籍)に移籍し、3年振りとなる3rdアルバム『This Too Will Pass』(YOUTH-015)を完成。前作に引き続きDaedelusを始め、多彩なゲストが参加して、究極的に芳醇なサウンドスケープを作り上げたこの作品で日本デビューを果たし(日本盤にはDaedelusとその妻Laura DarlingtonによるユニットThe Long Lostによるカヴァーを収録)、Alternative Pressでは4つ星半を獲得するなど高く評価される。それから4年、ライヴ・メンバーであった仲間達を正式にメンバーに迎えバンドとして生まれ変わって初のアルバム『HEAVEN IS ATTACHED BY A SLENDER THREAD』が完成。ミックスにPhoenix、Depeche Mode、Belle & Sebastianらを手がけ、グラミー賞にもノミネートされたTony Hofferを、ゲストにAnticonのBathsやAlias、DevicsのSara Lovなどを迎えて制作された本作は、これまでのダークで内省的なイメージから一転、明るく、ポップで、しかしどこかビタースウィートなダンス・チューンが並んだ作品に。しかし、得意のストリングスやホーンを配したアレンジや繊細なトラックメイキング、都会での孤独が浮かび上がるような歌詞世界、そしてその優しく心の襞に触れるような唄声は、まさしくThe One AM Radioならではのもの。結果、極上のポップ・アルバムが誕生した。日本盤には、未発表の新曲と、日本でのレーベルメイトであるDNTELとBoy In Staticによるリミックスを追加収録。