ニュー・イングランド出身、フィラデルフィアを経て、現在はブルックリンで活動するシンガー・ソングライター、マット・ポンドを中心とした5人組。元々メルズ・ロックパイルというロック・バンドをやっていたマットが、よりパーソナルで真摯な表現に向かうために、移り住んだフィラデルフィアで、知り合ったミュージシャンを集めて、マット・ポンド・ピーエーを結成。PAはもちろんフィラデルフィアのこと。オリジナル・ドラマーには、マザリン(PUMAのCMでお馴染み)やレノラ、ツイン・アトラスのメンバーとしても知られるショーン・バーンの名前もある。98年に『Deer Apartment』でデビュー。ほとんど自主制作的にリリースされたそれは、オンライン・ショップのCD NOWが催した「未契約バンド・コンテスト」でトップを取るという栄誉に輝く。その後、フランクリンやAM/FMのメンバーでもあるブライアン・ソケル主宰によるフィラデルフィアの重要レーベル、file 13から、2nd『Measure』(2000年)、そしてEP「I Thought You Were Sleeping」(2001年)をリリース。ヴェリー・セクレタリー、テッド・レオ、アスペラらとツアーする。2002年、レイチェルズのメンバーでもあったイヴ・ミラーもチェロとして参加するなど、メンバーを一新、レーベルも前述のAM/FMに続いて、イリノイのPolyvinyl(オーウェン、ジョーン・オブ・アーク、ブレイド、31ノッツ、アイダ、オブ・モントリオール、アーキテクチャー・イン・ヘルシンキらを擁する超優良レーベル)に移籍し、7”「This Is Not The Green Fury」、そして3rdアルバム『The Green Fury』(2002年)をリリース、P-VINEより日本デビューも果たしている。年内にもう1枚、4th『The Nature Of Maps』をリリースし、マットはニューヨークはブルックリンに移住する。ここで再度、メンバーを一新し、さらにレーベルもNYベースのAltitudeに移籍。5th『Emblems』(2004年)をリリースし(同アルバムは、翌年、カイザー・チーフスやオーディナリー・ボーイズでお馴染みのb-uniqueからUKリリースされている)、キーンとの大規模なUSツアーも成功させている。2005年、ニール・ヤングやリチャード・トンプソン、ニュートラル・ミルク・ホテルらのカヴァーも収録したEP「Winter Songs」をリリースしたのち、6th『Several Arrows Later』をリリースする。この間、FoxのTVドラマ「The O.C.」に、彼らによるオアシスの「Champagne Supernova」のカヴァーがフィーチャーされ、彼らの知名度は飛躍的にアップする(ちなみに同サントラは、他にもデス・キャブ・フォー・キューティー、アルバム・リーフ、スプーン、イールズ、ピンバック、インターポール等々といったバンドの楽曲を多数収録し、近年のUSインディー・ブームに一役買っている)。同年、リズ・フェアやガスターとのツアーも大成功に終わる。2006年、さらにメンバー・チェンジを行いながらも、ゴメズ、ユース・グループらとツアーし、さらにティーヴィー・オン・ザ・レディオ、ヨ・ラ・テンゴ、ベン・ギバード(デス・キャブ・フォー・キューティー)、ザ・フォーマット、ナダ・サーフ、ヴォックストロットなどと共演するなど精力的にライヴを行う。2007年6月、現在のラインナップとなって初の作品「If You Want Blood」(EP)をリリース。そして、2007年秋、2年ぶり、7枚目となるフル・アルバム『LAST LIGHT』が到着。彼らの大きな特徴であった叙情性の高いストリングスやフラジャイルな浮遊感よりも、より骨太でソリッドなロック・バンド・サウンド、そして“うた”が完全に前面に出て、聴く者を圧倒する。長くアンダーグラウンドな活動をしてきた彼らが、現在ではUSの主要都市では1,000人規模のホールもソールドアウトにしてしまうという状況に対峙し、そこから決して逃げることなく、辿り着いた回答として、あまりにも完璧すぎる13曲。「Taught to Look Away」で見事なデュエットを披露しているニーコ・ケースをはじめテイラー・ロック (ルーニー)、イザベル・ソーレンバーガー(バルド・ポンド)、ロブ・シュナッフ(エリオット・スミス、ベック)、トム・モナハン(パーニス・ブラザーズ、リリーズ)等、豪華ゲスト陣が華を添えている。このアルバムをひっさげて、2007年12月、待望の初来日を果たしている。