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IDAHO
アイダホ

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その名とは異なり、カリフォルニアを拠点に活動するシンガー・ソングライター、ジェフ・マーティンによる1人ユニット。アメリカン・ミュージック・クラブのマーク・エイツェルやレッド・ハウス・ペインターズのマーク・コズレクとも比較される稀代のソングライター、ジェフは高校の友人、ジョン・ベリーと創作活動を開始し、やがて彼らのテープはキャロライン・レーベルに渡る。1992年、彼らはリンガーズ・ラクテート・レーベルからシングル「Skyscrape」を、翌年、キャロラインから「Palms」をリリースしてデビュー。1993年の末には、ドラムにマーク・ルイス、そしてアンセイン/スワンズのヴィンセント・シグノレリを迎えて制作した1stフル・アルバム『Year After Year』をリリースする。1994年、ジョンがバンドを離れ、アイダホはジェフのソロ・プロジェクトとなる。ドラムを除き、ほぼ全ての楽器を彼が担当した2ndアルバム『This Way Out』を経て、1996年、マーク・ルイスを始めとするミュージシャンたちのサポートによって力強いバンド・サウンドを獲得した『Three Sheets to the Wind』をリリース。傑作と名高い同作で、アイダホはアンダーグラウンド・シーンでの評価を確立。また、ジェフを中心に、ダン・セタやジョーイ・ワロンカーといったミュージシャンたちがその時々に彼を支えるというスタイルも完成した。1998年、アイダホはキャロラインを離れ、バズ・レーベルから4thアルバム『Alas』をリリース。2000年にはジェフは自らのレーベル、アイダホ・ミュージックを設立し、『Hearts of Palm』(2000年)、『Levitate』(2001年)、そして未発表曲集やライヴアルバムなど作品を次々と発表。かつての盟友、ジョンからプロデュース面での支援も受け、相変わらず高いクオリティを誇る作品をコンスタントにリリースし続ける。2005年、4年ぶりとなる10thアルバム『The Lone Gunman』で、& recordsより日本デビュー。好調なセールスを受け、待望の来日公演が期待されたが、実現せずに終わる。その後はまた映画音楽制作などに没頭し、アイダホとしてのアーティスト活動は沈黙を続ける。その間、実に6年。そして2011年、ようやく11枚目となる新作『YOU WERE A DICK』が届けられた。待ち焦がれていた熱心なファンたちの期待を決して裏切ることのない、聴く者の心に切々と訴えかけるような美しい歌が数々詰まっている。耳の肥えた音楽好きたちが、まるで放浪の末にようやく辿り着いた山頂にそっと咲く花のように愛でるようなその音楽。メディアにあまり取り上げられなかったためか、アイダホは確かに知る人ぞ知る存在になってしまっているが、その音楽は決して聴く者を選ぶわけではない。アイダホの歌は誰もが心打たれるほど感動的で、誰もが息を飲むほど美しい。20年目にして、より深くなった唄心と精緻なサウンドスケープは、最高傑作と呼ぶに相応しい。

RELEASE

    • &020
      IDAHO / THE LONE GUNMAN
    • &091
      IDAHO / YOU WERE A DICK