Archive for 12月, 2011

OWEN / GHOST TOWN

水曜日, 12月 7th, 2011

シカゴのポストロック・シーンの支柱的存在ジョーン・オブ・アーク。その中心であるティムの実弟でありドラマーでもあるマイク・キンセラがその素晴らしい唄声を披露するソロ・ユニット。すでに5度の来日を果たし、Charaや坂本真綾もファンであることを公言するなど、日本でも確固たる人気と評価を誇る。2年ぶり6作目となる本作は、ボニー“プリンス”ビリーやアンドリュー・バードなどを手がけるニール・ストロウチの音作りにより、シンプルながら芳醇の極みともいえるサウンドを生み出すオーウェン・マジックはそのままに、さらに、昨年のキャップン・ジャズの再結成ツアーの影響か、これまでになくロックな面も垣間見える、実に魅力的な多層性を持ったアルバムとなっている。

HER SPACE HOLIDAY

水曜日, 12月 7th, 2011

サン・フランシスコ近郊のサン・マテオ出身のシンガー・ソングライター、マーク・ビアンキによる1人ユニット。サマー・ソニック出演や高橋幸宏とのツアーをはじめとした数々の来日公演やYEBISU THE HOPのCM出演などで日本でもお馴染みの存在。ファイナル・アルバムと銘打たれた本作は、ドリーミー・ポップ、エレクトロニカ、フォーク、サイファイ、ヒップホップ、ローファイ…これまでの彼の音楽遍歴全てを包含して総括した、まさに集大成と呼ぶに相応しい芳醇な音楽性を宿している。彼の優しい人柄がそのまま伝わるような温かいメロディーと唄心は今作でももちろん健在。まさに、マークが、ハー・スペース・ホリデイとして、出せるものをすべて出しきった、渾身の一作。

IDAHO / YOU WERE A DICK

水曜日, 12月 7th, 2011

その名とは異なり、1992年よりカリフォルニアを拠点に活動するシンガー・ソングライター、ジェフ・マーティンによる1人ユニット。その唄心は、アメリカン・ミュージック・クラブのマーク・エイツェルやレッド・ハウス・ペインターズのマーク・コズレクとも並び賞される。これまでメディアにあまり取り上げられなかったためか、アイダホは確かに知る人ぞ知る存在になってしまっているが、その音楽は決して聴く者を選ぶわけではない。アイダホの歌は誰もが心打たれるほど感動的で、誰もが息を飲むほど美しい。本作は、日本デビューを果たした前作『The Lone Gunman』から、実に6年ぶりとなる11thアルバム。より深くなった唄心と精緻なサウンドスケープは、最高傑作と呼ぶに相応しい。

YOMOYA / Yawn

水曜日, 12月 7th, 2011

前作から2年ぶりとなる新作。ドラマー東の脱退という試練を乗り越えて届けられた3作目となる本作は、前作に引き続きmooolsやOGRE YOU ASSHOLEらを手がけた斉藤耕治/多田聖樹によるプロデュース。テン年代型シティ・ポップという称号を冠するに相応しい爽快な「Baby」、レーベルメイトでありカナダの大人気エレクトロニカ・アーティストであるI AM ROBOT AND PROUDをフィーチャリングした「KITAINEIRO(feat.I AM ROBOT AND PROUD)」、コンテンポラリーR&B的なリズムがクールな「体温」、彼らの真骨頂ともいうべきUSインディー直系ギター・バンドとしてのダイナミクスを宿す「プールサイド」、ホームメイドな肌触りのサイケデリアが愛おしい「水圧」、シューゲイズなノイズと叙情が見事に交錯する「一秒、いらないさ」、そしてトーキング・ヘッズ meets J-POPな「KITAINEIRO(original version)」、と、YOMOYAというグループを構成する多彩な要素を曲毎に切り取って見せた、ヴァラエティに富んだ全7曲を収録。2年の間に彼らが辿り着いた新境地を示すに余りある大充実作にして「Y」三部作の完結編。

JOAN OF ARC / LIFE LIKE

水曜日, 12月 7th, 2011

96年に結成以来、ティム・キンセラを中心とした不定形グループであり、シカゴのポストロック~EMOシーンの最重要バンドの最新作。キャップン・ジャズの再結成ツアーにより、オウルズ以来、10年ぶりに再会したヴィクターをギターに迎えたエッセンシャルな4人で、USとヨーロッパにてツアーを敢行。強靭に鍛え抜かれた楽曲をもって、ツアー終了直後からエレクトリカル・オーディオ・スタジオに入り、スティーヴ・アルビニによって、バンドの最良の状態を捉えた9曲。ジョーン・オブ・アークとしては初のタッグとなるアルビニだが、当然のごとく相性は最高。最低限のバンド・フォーマットでありつつ、ここまで刺激的なサウンドを生み出せる彼らの才能に驚愕するのみである。

THE ONE AM RADIO / HEAVEN IS ATTACHED BY A SLENDER THREAD

水曜日, 12月 7th, 2011

LAを拠点に活動するSSWであるインド系アメリカ人リシケシュ・ヒアウェイを中心としたバンド。04年リリースの2ndがPitchforkで8.1という高得点を獲得するなど話題となる。07年、前作に引き続きDaedelusをゲストに迎えた3rdで日本デビューを果たす。それから4年、ライヴ・メンバーであった仲間達をメンバーに迎えバンドとして生まれ変わって初のアルバムが完成。ミックスにPhoenix、Depeche Mode、Belle & Sebastianらを手がけたTony Hofferを、ゲストにAnticonのBathsやAlias、DevicsのSara Lovなどを迎えて制作された本作は、これまでのダークで内省的なイメージから一転、明るく、ポップで、しかしどこかビタースウィートなダンス・チューンが並んだ会心の一作に。

THE WEDDING PRESENT / BIZARRO: LIVE IN TOKYO, 2010

水曜日, 12月 7th, 2011

UK最高のシンガー・ソングライターの1人と謳われるDavid Lewis Gedgeを中心とするカルテット、THE WEDDING PRESENT。2010年5月7日、渋谷O-WESTにて行われた来日公演は、1989年にリリースされ、名盤の誉れ高い『BIZARRO』を全曲演奏するという、特別なものであった。御歳50とは思えない、圧倒的なヴォーカルと、歯切れのよいカッティングで、満員の観客を熱狂させた。そんな記念すべき来日公演の、後半の『BIZARRO』パートはもちろん、まだレコーディングされていない新曲を含む前半パートまで完全収録。名盤再現というだけでなく、最高のロック・バンドの最高の熱演を捉えたという意味でも、とても貴重なこのライヴ・アルバムを、是非ともゲットして頂きたい。

KNESSET / COMING OF AGE

水曜日, 12月 7th, 2011

フェニックス、ロス、そしてNYを拠点に、2007年より活動する4人組。ギター、ヴィブラフォン、ハープシコード、ローズ・ピアノ等を丁寧に編み上げ、そこに染み入るような唄心を乗せたバンド・サウンドが評判を呼び、音源をリリースする前に、The Album Leaf、The Appleseed Cast、Asobi Seksu、Her Space Holidayらと共にツアーを行う。ミックスにModest Mouse、Explosions in the Sky らを手がけるJohn Congletonを招いて制作されたこのデビュー・アルバムでは、American Analog Set、Grandaddy、Sonic Youth、Sigur Ros、Blonde Redhead…といったインディー・ロックの偉大な先達のエッセンスを貪欲に吸収、咀嚼し、新鮮な響きを持ってアウトプットさせている。卓越した感性を持つ新星。

CAROLINE / VERDUGO HILLS

水曜日, 12月 7th, 2011

沖縄出身の女性シンガー・ソングライター。J-POPシンガーOLIVIAの実妹。06年、NYのTemporary Residenceより1stアルバム『Murmurs』リリース。その透明感溢れる歌声と、サンプリングを全く使わず、生のピアノ、ハープ、ベル、ギター、ストリングス、ハンドドラムなどを使用したトラックが、Bjork、mumなどを引き合いに出されながら高く評価される。07年、Mice Paradeのアルバムにゲスト参加。以後、正式にバンド・メンバーに。5年ぶりとなる本作は、前作同様、ミニマルなエレクトロニカを基調としながら、芳醇さを増したオーガニックで温かみのあるトラックが、表現力にさらなる広がりが生まれた歌声を包み込み、天上の音楽とでも言うべき荘厳な美しさを湛えた作品となった。

4 bonjour’s parties / okapi horn

水曜日, 12月 7th, 2011

01年より、宅録の閉鎖的なイメージを開放するというコンセプトのもと、 自由で良質な音楽を追求する音楽集団。2人のソングライターによる楽曲を、ヴィブラフォンや、フルート、トランペット、クラリネット、トロンボーン、ラップトップなどでカラフルに調理。男女混声のハーモニーが、オーガニックでエレクトロなサウンドに優しく包まれる。1stアルバムがUSのMushからリリース、Her Space Holidayのバック・バンド、フランスのTake Away Show出演、オーストラリアでのツアーや台湾の大型フェス出演など、国際的に活躍する。D.I.Y.精神を貫くその独自のスタンスと、メンバー個々の課外活動が集大成され、音楽への愛情、好奇心、探究心、喜びが溢れまくった、まばゆいばかりの傑作2ndアルバム。