ネブラスカ州オマハで活動するオレンダ・フィンクとマリア・テイラーによる女性2人ユニット。元々アラバマ出身で、地元のアート・スクールの学生であった2人は10代半ばでLittle Red Rocketというバンドを結成し、1997年、ポートランドのレーベルTim/Kerrよりアルバム『Who Did You Pay』でデビューする。BellyやThat Dogなどと比較されて評判を呼んだ彼女らはGeffenと契約するも、GeffenのUniversalへの吸収のドタバタのせいで1枚もリリースすることなく終わってしまい、2人はアセンズに引っ越す。そこで、元Gang of FourのHugo Burnhamの目に留まりマネージメントされることになり、Big AtomicのJacque FergusonとJapancakesのScott Sosebeeをリズム隊に迎えて2ndアルバム『It’s in the Sound』を制作、2000年にリリースするも、そこでバンドは解散。2人はアズール・レイとしてデュオで活動を始める。同時に、Bright EyesのConor Oberstの導きにより、Saddle Creek所属のバンドであるNow It’s Overheadに2人とも加入する。そして01年、元Archers of Loafであり現Crooked FingersのEric Bachmannプロデュースによるアルバム『Azure Ray』(収録曲「Sleep」は06年に公開された映画『プラダを着た悪魔』のサウンドトラックに使用される)で、アセンズのWarmよりデビュー。優しく物憂げな2人のヴォーカル、フォークやアメリカーナにエレクトロニカ・エッセンスをまぶした音楽性、ノスタルジックなアートワークなどが評判となる。02年には、Now It’s OverheadのAndy LeMasterプロデュースによるのEP「November」をSaddle Creekよりリリース。同年、2nd『Burn and Shiver』、03年に3rd『Hold on Love』をリリース。USインディー・シーンにおいて確固たる地位と評価を得る。また、2人ともMobyやBright Eyesのアルバムに参加するなど、順風満帆に思えたが、04年に活動休止。事実上の解散となる。その後、彼女たちはそれぞれソロ活動に入り、オレンダは2枚、マリアは3枚ソロ・アルバムをリリースしている(09年リリースの3rdにはR.E.M.のMichael Stipeが参加)。マリアは05年にBright Eyesのリキッド・ルーム公演でオープニング・アクトを務めている。そして、実に7年の不在を経て、奇跡的に2人は再会、素晴らしい復活作『DRAWING DOWN THE MOON』を完成させる。過去のアルバムと同様、Eric Bachmannによるプロデュース、Andy LeMasterと、Vic Chesnutの姪であるシンガー・ソングライターLiz Durrettのゲスト参加という気の置けないアセンズの仲間たちと作り上げられた本作には、7年前と全く変わらない、ただシンプルで、しかし息を呑むほど美しい2人の唄声による完璧な12曲が収められている。 2011年3月、待望の初来日ツアー(w/ 4 bonjour’s parties)が予定されていたが、震災の影響でキャンセルとなっている。