ヴェルヴェッツ・チルドレン的なギター・サウンドと、繊細かつ美しいメロディーで、USインディー・ファンを魅了し続けているヴァーサス。NYにて20年以上活動する彼らの中核をなすバルユット兄弟の内、末っ子でギターのジェイムスがソロ・プロジェクトとして始めたのがこのプラス/マイナス。2001年に活動を開始し、2002年にはデビュー・アルバム『SELF-TITLED LONG-PLAYING DEBUT ALBUM』をリリース。そこでは実験的な要素が強かったが、ヴァーサスが実質上休止状態に入り、2003年4月に本国で、10月に日本でリリースされたEP『HOLDING PATTERNS』から、ドラムにクリス・ディーナー、もう1人のギター、ヴォーカルそしてソングライターとして、ヴァーサスのドラムであったパトリック・ラモスが加入し、本格的にフル・バンド化。同年11月にリリースされた2ndアルバム『YOU ARE HERE』でその評価を不動のものとする。これまでに4枚のアルバム、3枚のEPをリリース、来日も5度果たしていて、OGRE YOU ASSHOLE、HUSKING BEE、ACIDMAN、nhhmbase、toddle、Discharming man、タテタカコ、日暮愛葉 and LOVES!らと共演、ストレイテナーのホリエアツシも絶賛コメントを寄せるなど、日本でも確固たる人気を誇る。特にbloodthirsty butchersとは、the band apart、mock orange(the band apartが招聘したUSバンド)とともに、4バンドによるカップリング・ツアーを、2004年、2005年の二年連続行っているのをはじめ、これまでのすべての来日で共演(2008年のみ吉村秀樹ソロでVERSUSと共演)、2005年にはお互いの楽曲をカヴァーしあうスプリットEPをリリース(遅れて2007年にUSでもリリース)するなど、固い絆で結ばれている。また、mooolsとも、2006年、2008年と、二度のカップリング・ツアーを行い、2009年、パトリック抜きでの来日の際も、モールスの企画に出演。同年、来日記念盤としてリリースされたEP「THROWN INTO THE FIRE」にはmooolsのカヴァー「いるいらない」を収録するなど、縁が深い。上記2バンドの楽曲をカヴァーする際も、原語である日本語で挑戦、さらに日本のステージではほとんど日本語でMCをやり、さらにはありとあらゆる日本食を食いつくさんばかりのグルメであり…と、日本通として知られる。ポスト・ロックもエレクトロニカも飲み込んだ、21世紀のバンドが鳴らすべきサウンドの全てが詰まった3rd『LET’S BUILD A FIRE』(2005)、“バンド”としてのエッセンシャルな魅力に溢れた4th『XS ON YOUR EYES』(2008)に続いて、なんと6年という最長のインターヴァルを経て、5thフル・アルバムが到着。ライヴ活動もほとんど行っていないため、もはや活動していないのではと思われつつも、ただただ素晴らしいシンガーソングライターでありプレイヤーである3人が、じっくりスタジオに篭り、音楽と向き合って、突き詰めていった末に辿り着いた、普遍的な境地。なんの衒いもなく、大上段から振り下ろした、現代最高の“ロック”がここに。